2010年8月15日日曜日

短い夏休み

「泊まる場所」「一緒に行く人」「海だから泳ぐかもしれないので、一応水着は持っていく」

これだけしか決めておらず、前日まで残業つきで働き、…まるで忙しいお父さんのような?状況で一泊旅行を強行。それでもリフレッシュ&リラックスを求めに出かけたのは、前後に疲労感を味わいながらも、がんばって正解でありました。
行き先はまるで第二の故郷と化している、南房総の海ですし、なんの変わり映えもしないけれど、今回はたまたま、我が史上初、女3代4人旅でした。友人と旅行することもまずないので、この女だけの旅は、思いがけずかなり楽しめました。なじみの民宿で上げ膳据え膳を心行くまで楽しんだのも、母と私と娘。

ノープランで出かけたわりにはかなり様々な体験ができて、最も刺激的だったのは南千倉海岸。もっとも私にとっては定番で、亡き父と姉がかつて毎年夢中ではまったゲーム感覚の、ここの荒波は、私にとっては勝手知ったる海なので、毎度のこと、海の家でボードを借り、ざばざばと果敢に海に向かったのですが、直後に背後で次女が波の被害に遭いました。ていうか、私に言わせれば、それは外房の海からの歓迎の儀式であり、波に打ちのめされて初めて一人前。と、思うも、波に揉まれることが初体験だった娘は、人の話を聞ける余裕はなく、打ちひしがれ、砂浜にじっと立ちすくみ続けたまんま。かつての自分もそうだったなあ。と彼女を横目に、打ち寄せる大波を大いに楽しんだのでした。

波は流れとリズムを知ってしまえば、大きい波の力でひょいっと持ち上げてくれる快感と、容赦なくやってくる爽快感に身を任せてるだけ。もし目の前で巨大な波が白く牙をむいて向かってきたら、そのときは覚悟を決めて、波の根元に潜って、沖側に泳ぎ出れば巻き込まれる心配はないのです。が、これを身につけるには、海に慣れないとなかなかうまくはいきませんが。ともかく、この千倉の海ってのは、水や景観の美しさはもちろん魅力ですが、遊泳禁止区域も含めて、なんとも男気溢れてかっこいいのです。

とはいえ、そうそう娘たちをつきあわせておくのも可哀そうなので、さて翌日はどうしよう?と、当日の朝に思い立って娘たちと出かけたのが、泊まった場所から10分足らずの、隣町にある丸山町のローズマリー公園。なにも真夏に行かなくてもと、いつもスルーしていた場所ですが、行ってみたらびっくり。そこはストラトフォード・アポン・エイボン…。イギリスの田園風景と、本格的な模倣で作られた、シェイクスピアの生家があるのです。まったく思いがけず、シェイクスピアの世界と、古き良き英国カルチャーを五感で堪能することになりました。しかし、シェイクスピアって、知れば知るほど気になります。まだ読んでない作品がたくさんあるのですが、生々しい愛憎劇の合間に妖精や魔法使いが出てくるのが、俯瞰の眼を意識させるというか…。とにかく面白いです。しかしいったん公園を出れば、当たり前のようにサーファーの若者達が爽やかな海と共に現れる場所だというのに。丸山町、恐るべしです。
まだBloggerが使いこなせず、リンクの貼り方がわからないのでこれでご勘弁を。







そして千倉は近年?温泉スポットとしても知られてる。のをよく知らなかったのですが、どうやら南房総温泉郷と呼ばれるらしく、長女からのリクエストで、これも宿からものの5分程度にある、リゾートホテル内にある日帰り温泉へ。ちゃんと鉱泉でした。名前は忘れてしまいましたが。泊まり客でもないのに、時間帯が良かったのか貸し切り状態の最上階にある展望風呂から、ガラスも柵もない状態で母娘ですっぽんぽんのまんま、海を眺めて気分上々でした。

ラストは写真家の浅井慎平さんのギャラリー「海岸美術館」へ。

パンフにある言葉を借りると、浅井さん曰く〝SOUTH IHATOVO”と千倉を呼んでるそうで、周辺の景色も含めて、海、森、空、花を楽しむようになっています。暑さとにわか雨とで、散策路は歩けませんでしたが、全てがつながってるスペースでした。そう言えば、泊まった宿の数軒先には浅井慎平さんの別荘といわれる建物があります。きっと、浅井さんはこの土地が大好きなのだなあ。と思うと、親近感が沸いてきます。正直、人気絶頂期に浅井さんのファンだったわけでもなかったのですが、こうして機会をいただいて目の前でいくつもの作品を眺めると、美しい色や質感が、人を圧する迫力ではない、でも知れわたってるような独特の爽やかさだけでない、ノスタルジックな世界や、自然に対する優しさや畏敬の念、深みのある、色んなものが広がってくる気がしました。特に浅井さんの写真にあるブルーに魅せられる点では、南房総という場所柄でしょうか。


帰路の渋滞さえも夏の風物詩…。でも、短時間で充分に夏の海を楽しめて、無理してでも行っておいて良かったかな。まだ体力のあるうちに(笑)殆ど登場しなかった母ですが、私たちが世俗的な遊びに興じてる間、宿でハマゴウなどの、海岸で生きる植物たちの絵を描いて過ごしてました。時間がなくて再会はできませんでしたが、アースデイちばで出会った、漂流物アクセサリーを制作しているMさんの住まいが、偶然宿からご近所なのを知ったことも、幸運でした。

しかし年甲斐もなく波にもまれて喜んでる自分。まだまだ、子育てを過ぎても千倉の海からは卒業できないでいる。ってとこです。

6 件のコメント:

  1. 凄くいい所ですね!
    写真だけを見ていると海外にいってこられたのかな?と思いました。

    個人的には海と山がある所は大好きで、夏になると必ず行きたくなります。
    一度、こちらも訪れてみたくなりました!

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  2. Soulmanさん

    コメントありがとうございます。南房総って、他の地方に比べたらどってことない場所なのかもしれませんが、館山は、かつてジャック・マイヨールが愛した海だそうですし、海の魅力としては、世界中の海を知る人々にも評判がいいように思います。房総半島の中でも内房や九十九里に比べると、この最南端あたりはどこもとてもきれいです。勝浦も、鵜原もおススメです。でも個人的には、まだ南紀白浜も行ったことないし、もっと色んな地方の海にも行ってみたいなあと思ってます。

    シェイクスピア・カントリー・パーク以外は異国ぽさを意識したわけではないのですが、そう言われれば…。ちょっと嬉しいかも(笑)

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  3. 女3世代旅、良いですね。うちは旅となると、まだ子供達が小さいし、ドタバタでゆっくり過ごせないんです。でも旅から帰って来て「あ~やっぱり家が一番だわ~」なんて言うこともせず、少々疲れてもやはり旅は楽しいですね。

    日本にもストラットフォーフォード・アポン・エイボンがあったのですね!(笑)私も写真を見て、海外に行かれたのかとかと思ってしまいました。

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  4. naoさん

    コメントありがとうございます。イギリスに行ったことがないのでわかりませんが、丸山町周辺はたぶん、イギリスには似ても似つかないと思いますよ。この辺ってお土産の売れ筋はやっぱり干物とか、サザエとかアワビとか(笑)で、うちに帰ると疲れを癒やす間もなく、買ってきた干物とか焼いたりして。全然優雅じゃないですね~(空しい笑)

    うちも一昔前までは、家族旅行は一苦労でした。結局子供中心になりますもんね。前後に熱出されたら困るなあとか、余計なことばかりで(笑)でも、旅先ではしゃぐ子供の笑顔とか見ると、やっぱり来てよかったなあと思えるんですよね。そこは定番ですがプライスレスですね。

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  5. 素敵な夏休みを過ごされたのですね。お母様と娘さん達女3世代旅というのが本当に羨ましいです。私は兄しかいないので姉妹や娘との距離感というか関係性って全く想像がつかないのですが、お互いよく分かり合ってる友達よりもさらにもっと近しい、もう一人の自分みたいな感じなのでしょうか。

    お仕事がお忙しい中、さらにこの猛暑の下、ダイナミックに海を楽しみ温泉で体を癒し美しい風景に心を癒しARTを満喫、という一泊二日の日程ではこれ以上ない程の充実した時間を過ごされたのではないでしょうか。
    そこに、激しい波に向かって行く事に爽快感を感じるpink whale さんならではの、常に自分を取り巻く世界からあらゆるものをいい意味で貪欲に享受して行こうとされる姿勢が表れているように感じました。
    私はこの厳しい猛暑に立ち向かう事は早々に諦めひたすらインドアで一人遊び(?)に興じる日々です。幸いにも当分没頭できそうなネタも見つけた事ですし(笑)

    大洗などに比べて房総の海って穏やかなイメージがあったのですがpink whale さんが愛されるだけあってなかなかに男気のある海なんですね!

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  6. ゆずさん

    コメントありがとうございます。いやいや、まじめに感心されればされるほど恥ずかしい(笑)一言で言えば、大人げない母と、そこそこ物分かりのいい身内たちというとこです。でもほんとに旅行後しばらくは忙しいは身体がしんどいはで、日記アップも数日かかりました。

    私はゆずさんと反対に、女の中で育ったので、むしろ男の目を気にせず、身も心もあけっぴろげに育った感じです。今、成長した娘とは月に1.2回くらいしか会わなくなってしまいましたが、ずいぶん色んな思いをシェアできるようになってます。確かに息子と比べると距離感がぐっと近いです。そうですね、男の中にいたらどうなんでしょ…。今の職場はほぼそれに近いから、うーむ。それはまた別の意味であけっぴろげかも…。となると、がさつなキャラは環境のせいではないのでしょう…。

    ゆずさん、ご自分でおっしゃるとおり、けっこうイイ夏を過ごされてるようにお見受けいたしますよ(笑)インドアでもハートは猛暑みたいな(笑)

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