2010年9月7日火曜日

Responsibility

向田邦子の小説「父の詫び状」を、娘が中学校の国語の授業で読んだと聞いて、へえー。時代は変わったなあーとびっくりしつつ、好きな作品&作家なので嬉しくなりました。


あの大韓航空事故のニュースの前から、NHKのドラマ「阿修羅のごとく」などで知ってる作家でしたが、やはりあの事故で注目度が上がり、その後何冊か、作品を読んだのが、たぶん高校生くらいだったんじゃないかと記憶しています。特にこの「父の詫び状」は、向田作品のベースとなるような要素も多く、印象に残っています。なんて書くと、読書好きの少女だったかのようですが、正直、そんなことは全然ありません。


時々、娘たちとは読みたい本が一致する時期があります。2人の娘たちも私も、山田詠美が好きだったり。今回はたまたま、松山ケンイチ主演で映画化するという、「ノルウェイの森」を読んでみようかなあという気になり、初めて村上春樹を読み始めていたら、娘も読んでみたかった。というのです。読後感としては、母が娘に伝える本として、ふさわしいかというと微妙なところですが…。いい本だなあという気持ちのほうが強いけど、自分の中ではところどころ、「これは大人の男のファンタジーってことにしとこう。」って気持ちが拭いきれず。でもいい本だと思います(笑)


休日、友人に誘われてふらりと出掛けたら、カウンセラーの講義でした。自分はセンシティブな状態にあるわけでもないので、講師の話や、質問者の問いなどをただぼんやりと聞いているだけだったのですが、身近な人間関係について、話し合われてるにも関わらず、突然、戦争状態に陥っていく狂気についての恐怖感がありありと浮かび上がってきて、一人密かに、頭が混乱してしまいました。同席する人達は、うまくいかない親子関係や夫婦関係について真剣に悩む、善良な人達なのに、私だけが突拍子もないことを考えてる気がして、一時的ではありますが、場違いな雰囲気にいたたまれなくなってしまいました。



あとで一緒に行った友人から聞いたのですが、過去のトラウマを癒すトレーニングというものがあるそうで、こんなふうにふと浮かんだ恐怖感と対峙して、答えを出していく、みたいなプログラムらしく、私には、そんな滝行みたいな厳しいプログラムは耐えられない…。できれば、魔法使いの呪文みたいに、トラウマがポンッ!と消えてなくなるようなのがいいなあー。と思いつつ、そうか、私がこんなふうに感じたってことは、この講座はたいしたものだなあ。と、妙に感心もしたのでした。



ただ今回、確信したのは、あの時に、集団催眠のように、狂気に巻き込まれていく過去のプロセスがあり、それは現在、未来については絶対に起きてはいけない。という、自分の内面の叫びのようなものでした。思えば、太平洋戦争で兵士であった経験を持つ父が、学生時代からすでに「この戦争は絶対に負ける。間違ってる。」「だから天皇陛下万歳なんて、死ぬときに絶対言うもんか。」と心の中で訴え続けつつ、体験した戦争についてを、幼いころに口伝で教わった自分は、ある意味、マインドコントロールされているのでしょう。それは良くも悪くもあるのですが、良い意味にとれば、私には平和を守っていく義務があるのでしょう。今となっては、「父の遺言状」ともとれる、強い思いです。


心身共に、夏バテ気味でブログもごぶさた気味でしたけど、こうして浮かび上がった思いがある以上は、書くべきだなあ。と。悲しい過去は忘れようとすれば、犠牲になった人達へのレクイエムの機会も減ってしまうかもしれません。



カウンセリングはあくまでも個人的な心の問題のためにあるわけで、なにもここまで。と、思う向きもあろうかと思いますが、自分の内側の平和を保ち続けることから、外側の平和につながってくのでしょうから、手っ取り早く、内も外もいっぺんに、どちらも平和であり続けますように!と、9.11に先がけて、祈ることにします。

5 件のコメント:

  1. お嬢さんが、自分が過去に読んだお気に入りの本を読んでくれると嬉しいでしょうね。自分が読んだ時と同じ年頃になった我が子が、同じ本を読んでどう感じるのかな…と思う本は私も何冊かあります。何も感じなくてがっかりかもしれませんが(笑)

    「ノルウェイ…」を読みたがられているのは、中学生のお嬢さん?私は20年以上前に読んだので、細かいところはおぼろげですが…まぁ大人になって読むのと、また感じ方も違うんでしょうしね。映画の方も、興味はあるけど見に行かないかな。音楽はレディオヘッドのメンバーが担当なんですよね。早くテレビでやらないかな~(笑)

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  2. naoさん

    コメントありがとうございます。そう、「ノルウェイの森」が受験生の娘に息抜きとしておススメできるかどうかはわかりませんが(笑)村上春樹はけっこう勧められたりすることもあるので、そのうち他の作品も読んでみようかな、とは思ってます。

    子供に勧めても、殆ど肩すかしってことも多いですが。ウェラーがいい例です(笑)逆に子供が面白いというものがきっかけになることもあり、教えてもらうこともあります。まだちゃんと見れてないのですが、エヴァンゲリオンなんかは子供たち経由です。

    レディオヘッドが音楽担当なんですか、へえー知りませんでした。ビートルズのナンバーも良いですよね。松山君は良いんだけど、他のキャストで、え?と思う人もいたり。肝心の映画のほうは、どうなんでしょうね。映画と言えば、「あしたのジョー」の力石徹役が伊勢谷友介なので、こっちも楽しみです(笑)

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  3. pink whaleさん、私の書き方が悪かったです…↑「ノルウェイ…」の音楽担当はレディオヘッド自体がするのではなく、レディオヘッドのメンバーのジョニー・グリーンウッドが担当らしいんです。失礼しました。

    力石徹役を伊勢谷友介がするんですか。なかなよさそうですね(笑)

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  4. 過去のトラウマとの決別の方法教えて頂きたいです。
    そうしたら「魂年齢を調べたほうがいい」なんて辛辣な言葉に
    涙することもないと思うから。

    ポンときれいさっぱり忘れちゃうのが一番ですね。

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  5. マカロンさん

    人様に向かってしゃあしゃあと、「魂年齢を調べたほうがいい」などと言う、お前の魂年齢こそ低そうだな!!と言ってやれば、トラウマが解消するかはわかりませんが、すっきりはするのでは(笑)

    だいいち、魂年齢ってなんだそりゃ?だし、測れるのかもわかりませんし、どういう数値が良いのでしょうか?別に知りたくもないけど(笑)

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